横浜国際プール メインアリーナ 通年スポーツフロア化へ 市が再整備計画の素案を公表:東京新聞 TOKYO Web

メインプールとして利用時のメインアリーナ=横浜市提供

 横浜市は3日の市議会市民・にぎわいスポーツ文化・消防委員会で、横浜国際プール(都筑区)の再整備事業計画の素案を公表した。現在、年の半分を国際基準のプールとして利用するメインアリーナについて、今後は通年、スポーツフロアとする方針だ。国内基準のサブプールは維持し、地域レベルの大会は開催できると説明するが、県水泳連盟などは「メインプールを残してほしい」と反対している。(神谷円香)

 横浜国際プールは1998年に開業。50メートルが10コースある国際基準のプールとして、当初は国際大会での活用を想定していたが、これまで開催された国際大会は2002年のパンパシフィック水泳選手権など4回にとどまる。10月中旬~4月上旬の約半年間はスポーツフロアにしているが、床を転換させる作業にそれぞれ1カ月かかり、そのための費用も年5100万円に上るという。

横浜国際プールのメインアリーナ(左奥)とサブプール(右端)の入り口=いずれも横浜市都筑区で

横浜国際プールのメインアリーナ(左奥)とサブプール(右端)の入り口=いずれも横浜市都筑区で

 市によると、メインアリーナのプール利用者は減少しており、22年度はスポーツフロア利用者を下回った。通年でスポーツフロアにすると運営費や光熱水費も抑えられ、市が負担する指定管理料などを年間5億9千万円(22年度実績)から3億8千万円に下げられると試算する。隣の東京都には、東京五輪・パラリンピックの会場になった東京アクアティクスセンターがあり、大会の誘致を優位に進めることも難しいと判断。国際基準のプールがなくなることが「大きなデメリットにはならない。施設を持続可能な運営にしていくためには必要」と理解を求めた。

通年スポーツフロアにした時の利用イメージ。子ども向けのエアー遊具を置くことも検討している=横浜市提供

 一方、県水連や横浜水泳協会、日本水泳連盟は同日、プール存続を求める1万1129人分の署名を市に提出した。会見を開き、年間約90の日本水連公認大会のうち、横浜国際プールでは重要な大会を中心に4割を開いており、行き場がなくなる大会もあると訴えた。競技人口の減少にもつながるとして、県水連の高橋憲司会長は「パリ五輪代表の本多灯選手ら日本代表を出してきたのが途絶えてしまう」と懸念を示した。

 横浜国際プールはスポーツフロアの時期、プロバスケットボールBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」のホームになっている。市は今月下旬から1カ月間、素案への市民意見募集を予定している。