健康経営優良法人の認定を目指す企業経営者にヒントを――。そんな思いのもと、連載中の「健康経営のススメ!」。
これまでに認定を受けた企業や、積極的に健康経営を推進している企業の先進事例のほか、コロナ禍で社会的課題となった従業員のストレス対策として、産業医のアドバイスを有効活用する企業の事例など、できるだけ具体的なノウハウに焦点を当ててきた。
第14回は、1946年の創業以来、神奈川県磯子区を拠点に、企画・販売・構築・導入・運用・保守までのICTを中心としたオフィスに関わる製品・サービスをワンストップで提供しているICTの総合インテグレータ日興テクノス株式会社。
従業員は75人。経済産業省の健康経営優良法人2022では「ブライト500」(※)に認定されている。代表取締役社長の長谷川 浩正(はせがわ・ひろまさ)さん、ご担当の総務課総括主任の松川顕子(まつかわ・あきこ)さんに話を聞いた。
(※)ブライト500とは、経済産業省による「健康経営優良法人認定制度」における中小規模法人部門のうち、上位500の企業に与えられる称号。従業員の「健康づくり」に積極的、かつ具体的に取り組む企業が選定される。
-
神奈川県磯子区の「日興テクノス株式会社」が取り組む「健康経営」に迫る(写真はイメージ)
「働き方改革」で残業時間見直しに注力、大幅削減を実現!
――健康経営を導入されたきっかけをお教えください。
長谷川社長「健康経営は弊社の経営理念にも通じ、経営方針の一つである、『健全な経営と働き甲斐のある職場創りによって社員とその家族の生活向上』を体現する取り組みである、と考えています。
弊社ではかねてより、定期健康診断でのオプション検査や婦人科検診の受診勧奨を行っており、会社での費用負担を行ってきました。ほかにも、横浜マラソン沿道清掃を通じた従業員間のコミュニケーション向上を図る取り組みや、スポーツクラブの利用補助、立ち会議スペースの設置、就業時間中禁煙の社内制度化、年次有給休暇の取得促進や時差出勤制度の導入など、さまざまな取り組みを進めてきました。
一方では、職場の環境を整えるために、社内をスマートオフィス(座席を固定せずにプロジェクトや案件ごと、リフレッシュのために自由に座る場所が選べる)にするなどの取り組みはすでに進めていましたが、注力すべき健康課題として『残業時間の削減』を目標にしたのが、健康経営を始めたきっかけになります」
2022年10月の横浜マラソン沿道清掃の様子
――健康課題とその解決方法を具体的にお聞かせください。
松川総括主任「従業員の健康増進・モチベーションアップやワークライフバランスの推進のためには、残業時間を削減し、労働時間の適正化をはかり、職場環境を整える必要性があることを課題として感じていました。そして、健康経営が、その改善にむけたカギであると考えました。
残業時間の削減は、一人ではできません。まず、所属長と課題を共有し労働時間を適正化するため、業務効率化を図り、生産性を向上させるという観点から、働き方改革を推進しました。
具体的には、所属長には、課員の労働状況を逐次把握し、業務ボリュームやメンバー間のサポートを調整してもらうようにしました。このように、役職者が合理的な取り組み実行したことで所属員にも残業削減の意識を浸透することができました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響もありますが、テレワーク、直行直退、早出勤務、遅出勤務を導入。こうした、さまざまな働き方改革の推進を行い、2019年度・2020年度比で残業時間は、マイナス26.3%の大幅な残業時間削減となりました。その後も、過度な労働時間にならないよう、引き続き啓蒙活動を続けています」
スマートオフィスで「働き方改革」を推進!(写真は、フリーアドレス化したオフィス内)
――今年度の新たな取り組みについてお聞かせください。
松川総括主任「現在、月に1~2回、『健康通信』を発信しています。情報発信によって、『毎月出される健康通信いいね』『今月の内容は良いね』などの従業員の生の声が聞けるようになりました。
また、アクサ生命の健康経営アドバイザー、エキスパートアドバイザーや、神奈川県電設健康保険組合に協力してもらい、健康増進アプリ、健康動画配信など、弊社の健康経営を一緒に進めてもらっています。役員、従業員の健康経営への理解もあり、おかげさまで、2021年度健康経営優良法人認定を受け、さらに、2022年度は健康経営優良法人 ブライト500の認定を受けることができました。
最近うれしいことがありました。朝礼で4月入社の社員がスピーチをした際に、『この会社は、健康経営に取組み、社員の健康意識が高いと言う印象を受け、自分も感化され、食事に気を付け、通勤で一駅分歩くようにして、減量に成功した』という話をされました。
健康経営に3年間取り組みをしてきてよかったと社長と一緒に喜びました。私が考える以上に、社員のみなさんは健康に気を付けていることがわかり、私自身のやりがいにもなりました」
朝のラジオ体操を始めました(仮想オフィス活用)
毎月の「健康通信」で情報発信、従業員の生の声も届くように
総務課総括主任の松川顕子さん
――取り組みによる効果や反響はいかがですか。
松川総括主任「健康経営を成功させるためにはトップの方針が大切です。2020年3月27日に健康企業宣言を制定し、自社ホームページで社内外へ発信しました。おかげさまで、弊社の場合、社長が健康経営についての理解が深く、実務面でも積極的に支援を受けています。
また、従業員の皆さんの参画意識が大切です。健康づくりは会社から言われてやるものでなく、自分たちで気づき取り組みことが重要と考えています。また、施策を実行した際にはやりっぱなしにせずに、アンケート等で効果検証を行います。また、個別に、社員の方にも声掛けをしています。
人生100年時代を迎え健康づくりに若いころから取り組む必要性は高まっています。会社にとっても、元気で健康な社員が増えることが事業継続にもつながります。しかし、健康づくりや健康意識を醸成、継続していくためには時間がかかります。健康経営は、今年だけの取り組みでなく、毎年PDCAを回していくことが大切です。マンネリ化しないように、時代に合わせた新たな取り組みを毎年取り入れながら、日興テクノスらしい取り組みを地道に継続していくことこそが大切であると考えています」
日興テクノス株式会社の本社
――健康経営を成功させるためには何が必要でしょうかお聞かせください。
松川総括主任「健康経営を成功させるためにはトップの方針が大切です。2020年3月27日に健康企業宣言を制定し、自社ホームページで社内外へ発信しました。おかげさまで、弊社の場合、社長が健康経営についての理解が深く、実務面でも積極的に支援を受けています。
また、従業員の皆さんの参画意識が大切です。健康づくりは会社から言われてやるものでなく、自分たちで気づき取り組みことが重要と考えています。また、施策を実行した際にはやりっぱなしにせずに、アンケート等で効果検証を行います。また、個別の社員の方にも声掛けをしています。
人生100年時代を迎え健康づくりに若いころから取り組む必要性は高まっています。会社にとっても、元気で健康な社員が増えることが事業継続にもつながります。しかし、健康づくりや健康意識を醸成、継続していくためには時間がかかります。健康経営は、今年だけの取り組みでなく、毎年PDCAを回していくことが大切です。マンネリ化しないように、時代に合わせた新たな取り組みを毎年取り入れながら、日興テクノスらしい取り組みを地道に継続していくことこそが大切でだと考えています。
――長谷川社長はいかがでしょうか。
長谷川社長「健康経営に取組み3年目となります。今年度はブライト500も取得することができました。弊社のウェブサイトで、自社の取り組みを掲載したところ、お取引企業から『健康経営に取り組まれているのですね』と声をかけていただいたり、取材をしていただく機会も増えてきました。採用の面でも特に若い方は、従業員の健康に配慮した会社として弊社を評価してくれます。社内的には、今後とも健康経営だけでなく、さまざまな取り組みを継続して、従業員のみなさんにとって、働きやすい環境を整備していくことが重要だと考えています」
――ありがとうございました。
毎月の健康通信の例
【会社概要】
日興テクノス株式会社
代表取締役社長 長谷川浩正さん
1946年9月に電話設備工事業者としてスタートし、今年で76周年を迎えます。「ネットワーク」「ソリューション」「ヘルスケア」「スマートオフィス」の4つの分野を柱として南関東を中心に企画・販売・構築・導入・運用・保守までのICTを中心としたオフィスに関わる製品・サービスをワンストップでご提供しています。皆様から長きにわたり信頼預けるよう「感謝」の気持ちを忘れずICTの総合インテグレータとして高度なテクノロジーとサービスによりお客様の満足を実現してまいります。
・本社所在地 神奈川県横浜市磯子区森
・主な事業内容 情報通信業
・従業員数 75 名(男性:64名・女性:11名)
・健康経営優良法人 2011、2022連続認定(2022は中小規模法人部門のブライト500に認定)
https://www.nikko-technos.com/